ちょっと変わった使い方のFDA法規制用語② Material

今回は「material」という用語です。材料、資材、資料等や、これらの形容詞的な意味で使われることが殆どですが、FDAでは、時々、これらとは少し異なる使われ方がされています。

例えば、「CFR 807施設登録機器リスティング規則」の§807.26 「追加のリスティング情報」の(b)項では、以下が規定されています。

In addition to the requirements set forth in paragraph (a) of this section, each owner or operator shall maintain in the historical file any labeling or advertisements in which a material change has been made anytime after initial listing.

マーカー部の「material change」は、どの様な意味だと思いますか?「材料変更」とか「資料変更」と思われた方が多いのではないでしょうか?

この文章だけを読むとその様に解釈することはできるとは思いますが、この規則の「§807.3 定義」の(n)項に以下の規定があります。

Material change includes any change or modification in the labeling or advertisements that affects the identity or safety and effectiveness of the device. These changes may include, but are not limited to, changes in the common or usual or proprietary name, declared ingredients or components, intended use, contraindications, warnings, or instructions for use. Changes that are not material may include graphic layouts, grammar, or correction of typographical errors which do not change the content of the labeling, changes in lot number, and, for devices where the biological activity or known composition differs with each lot produced, the labeling containing the actual values for each lot.

黒文字の前半では、「material change」を「資料や材料の変更」と解釈しても何とか意味を成すのですが、後半の青文字の文もその解釈で和訳すると、「「資料や材料の変更」ではない変更」には、図的レイアウトや文法の変更、ラベリング内容を変更しない誤植の訂正、ロット番号の変更等が「「資料や材料の変更」ではない変更」であるということになってしまい、かなり不自然です。これらの例示は、些細な変更⇒重要ではない変更の例示をしている様に見えるので、もしや、この「material」には、材料や資材等の意味とは全く異なる「重要」なという様な意味があるのかも知れないと、辞書を確認すると、形容詞としてその様な使われ方が記載されていました。

「material」⇒「重要」という解釈で上の英文を和訳すると、以下の様に、不自然さが無くなり、非常に分かりやすい要求事項になります。

「§807.26追加のリスティング情報」の(b)項

各所有者・経営者は、本§の(a)項に規定されている要求事項に加えて、最初のリスティング以降に重要な変更をした全てのラベリングや広告を、履歴ファイルに維持すること。

「§807.3 定義」の(n)項

重要な変更は、その機器の独自性、安全性、有効性に影響をするラベリングや広告の変更を含む。この変更には、一般名・通常名・商標、宣言された成分または構成品、意図する使用、禁忌、警告、取扱説明書の変更が含まれるかも知れないが、これらに限定されない。重要ではない変更には、図的レイアウトや文法の変更、ラベリング内容を変更しない誤植の訂正、ロット番号の変更、ロットにより生物学的活動や既知の構成が異なる機器の場合には各ロットの実際の値を含むラベリングの変更が、含まれるかも知れない。

この重要なという意味での使い方が、CFR 814 市販前承認規則でもあちこちで行われています。例えば、§814.3 定義の(i)項では以下の規定があります。

Statement of material fact means a representation that tends to show that the safety or effectiveness of a device is more probable than it would be in the absence of such a representation. A false affirmation or silence or an omission that would lead a reasonable person to draw a particular conclusion as to the safety or effectiveness of a device also may be a false statement of material fact, even if the statement was not intended by the person making it to be misleading or to have any probative effect.

重要事実の陳述とは、その様な表示が無い場合よりも機器の安全性や有効性が高くなる可能性が高いことを示す傾向のある表示を意味する。その機器の安全性や有効性に関する特定の結論となる様に道理のある者を誘導するであろう虚偽の肯定、沈黙、省略も、それを誤解を招く様にすることや、それに何かの証明効果を持たせることをその者が意図していなかったとしても、虚偽の重要事実の陳述になるかも知れない。

以上で、「material」という用語には「重要な」という意味もあるというお話は終わりです。因みに、今回例示したFDA規則のCFR 807施設登録機器リスティング規則とCFR 814市販前承認規則の和訳(対訳)は、弊社ウェブサイト(https://www.accuthera.com/products/docsaleList.php)で販売しております。

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